『悪魔に赦しを乞え』


by yakumoMkII
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

<   2009年 03月 ( 2 )   > この月の画像一覧

続・「死にたい」の定義

どうも!「嫌だ苦しい喪に服したい」でお馴染みの嫌苦喪です。
みなさん死にたいですか?僕は死にたいです!!

何で久方ぶりの近況報告が湿った話なのか?ということなのですが
これには訳がございましてねって、訳も無く死にたいとは申しません
でもたまに訳も無く死にたいこともござ候

今、僕は一人チキンレースてきなことに興じておりまする
これはどういった遊戯なのかご説明いたしますと
いままだ親の起きている時間にて自分の部屋で
最初は小さく「死にてー・・・」と呟きます
もちろん小さくなので親は気づきませぬ
ならばこれはどうかと先刻よりもやや大きめな声で
「死にてー・・・」と呟きまする
ここまでくると中々の声量となってきます
親が便所に入ろうと僕の部屋に近づいたなら
聞こえてしまうかもしれません
だけども僕は臆することなくさらなる大音量にて
「死にてー!」とこれは呟きの範疇を超えてしまっているので
親に気づかれたかもしれませぬ

さて僕は何故にここまで追い込まれてしまったのかというと
タイのお遍路より戻られたガイシーノさんのせいなのです

いや・・・ガイシーノさんは関係ありません
結局自分が悪いのです、諸悪の根源は自分自身なのです
だけど誰かに罪をなすりつけなければ
自我を保とうとする器官が破壊されそうなのです

つい2日ほど前に
ガイシーノさんの家に御呼ばれをしたので馳せ参じました所
まず酒を飲めと酒を注いでくれて
「一気に飲み干せ」との御指示を承りましたので
言われたとおりに飲み干すと
その液体は酒というよりもまるでケシの実の汁のようでして
とても不思議な感覚にとらわれました

その後、ガイシーノさんはバシッコさんと共に
タイでの出来事について時に雄雄しく
時に半狂乱となって語ってくれました
その様子は彼自身がいずれ公式の場で発表すると思いますので
ここでは割愛させていただきます

話を一頻りした後に
まるでこれが本題と言わんばかりに
バッグと服を取り出すと
ケシの実の汁で酔うた私に
これを買えと勧めてくるではないですか

ここまでの件を見ますと
まるで悪質商法さながらと思われがちですが
ガイシーノさんが悪となりきれぬところは
自らもケシの実の汁に酔うておるので
お互いに気が大きくなってしまっているため
最終的に私が得をしてしまうのです

ならば死ぬこともあるまい、むしろ生きる糧となっているのでは?

皆様の頭にはそういった疑念がよぎって致し方ないでしょう

現に私もここまでのやりとりで終わっていれば
「死にてー」なんて思わず
「でいーぜる」と「だぶるじえいけい」のお召し物を
にやにやとしながら存分に閲覧していたでしょう

しかし、一夜明け二夜明けて後
とても申し訳ない気持ちで一杯になってしまった
それは何故かというと、前述したる二品
特に「でいーぜる」の革のべいじゅのぶるぞんときたらもう
革の質感がね、しっとりとしてるのよ
牛の革を使ってるのにね、まるでラムレザーみたいなの
これってちょっと信じられるかしら?
それでいてベージュの色合いがとってもお上品なの
全体的な造りも素晴らしくてね
これを着て街を歩いたらちょっとした芸能人気取り?みたいな

ちょっとちょっと「だぶるじえいけい」をお忘れじゃない?
黒のボーダーの半そでTシャツなんていったら
この夏のマストアイテムに決まってるじゃない

そんな素晴らしき二品を
低所得労働者にも優しき値段で譲ってくれた
ガイシーノさんに対して恩返しをしようと思い

自分のA.P.C.のトレンチコートに
ディーゼルのシャツをつけてあげて
ガイシーノさんが安価で手放そうとしていた
ちょっとした時計と取り替えてあげようと
穏やかな面持ちで電話をかけると

「はあ?そんなのゴミじゃあないですか
 そんなクソみてーなので俺の時計と取り替えるって
 マジなめてんすか?」

そう言われました

ガイシーノさん悪くない

俺悪い

ガイシーノさん全然悪くない

俺が全面的に悪い

ガイシーノさんこれっぽっちも悪くない

俺が存在していること自体が悪いんであって・・・・・・

何で俺調子乗っちゃったんだろ?

何でこの取引が相手に有利なんて思ったんだろ?

何で外資社員様に対してニート上がりごときが
物品取引を要求するなんておこがましい行為をしちゃったんだろ?

「死にてー」

「ああ死にてー」

「死にてーよー、死にてーよー」

「もう早く死なして、今すぐ死なして」
[PR]
by yakumoMkII | 2009-03-19 00:56 | Danger

おばあちゃん、ごめんね

僕が18歳のころ
お婆ちゃんは癌にかかっていてしばらくの間入院をしていた

僕は昔っからお婆ちゃんっ子だったので
お婆ちゃんのことがとても心配でたまらなかった
最初のころは何度もお見舞いに足を運んでいたけれど
色々と忙しかったり用事があったりで
段々とお見舞いに行く頻度はめっきりと減ってしまっていた

3ヶ月ぶりくらいにお見舞いに行ったとき
しばらく見ない間にずいぶんとやせ細った
お婆ちゃんの姿を見て戸惑いを隠せずにいたら

「久しぶりだなあ、来てくれたんか。」

そうお婆ちゃんはとてもうれしそうに言ってくれたので
何だか心が切なくなってしまった

用事があったため30分ほどの会話しかできず

「それじゃあ、用事があるから帰るね」とお婆ちゃんに告げると

寂しそうな表情で「またきてな」と言われたので

「また来るよ。」

そう僕が返事をしたら、とても嬉しそうな顔で頷いてくれた

それからまたしばらくお婆ちゃんのお見舞いに行けなかったのだけど
お婆ちゃんが退院して家に帰ってくるとの知らせを聞いた

退院と言っても病状が良くなったからという訳ではなく
お婆ちゃんが最後は家族と一緒に過ごしたいと強く希望をしたため
とりあえず一時的な退院という形で
家族と少しでも一緒の時間を過ごさせてあげたいとの
病院側の配慮だったそうだ

お婆ちゃんが家に帰ってくるのは嬉しかった反面
ほぼ寝たきりでとても苦しそうにしている姿を見ていると悲しくもあった

僕は少しでもお婆ちゃんと一緒の時間を過ごしてあげようと
家にいるときはなるべく、どんなにつまらないことだろうと
お婆ちゃんに話をしてあげていた

ある日、僕に彼女が出来て
明日初めてのデートに出かけることをお婆ちゃんに話した

すると、おばあちゃんは「よかったねえ、よかったねえ。」と
まるで自分のことのように喜んでくれた

次の日、眼を覚ますとデートのために
前日から用意していた服が無くなっていた

おかしいなと思い母親に聞いてみると
お婆ちゃんが珍しく朝に起きて
僕の部屋に入ったらしい

もしかしたらお婆ちゃんが知っているのかなと思い
お婆ちゃんの部屋に行くと
どうやらお婆ちゃんは僕の服に
アイロンをかけてくれていたみたいなのだが
どうも様子がおかしい

僕が部屋に入ると

「ごめんなあ、ごめんなあ。」しか言わない

「もしかして」と自分の服をみてみると
アイロンがけに失敗したらしく焦げあとがくっきりとついてしまっていた

僕は急にカーっと頭に血が昇ってしまい

「ふざけるな!!どうすんだよ!!」と思いっきり怒鳴りつけてしまった

お婆ちゃんはただオロオロしながら

「ごめんなあ、ごめんなあ。」と何度も謝るのだが

怒りが収まらない僕は

「ごめんじゃないだろ!余計なことするからだ!このクソババア!!」

さっきよりもさらに大きい声でそう怒鳴った

するとお婆ちゃんはよろけながらタンスの方へ向かい
ボロボロの財布を取り出すと
そこから、なけなしの5千円札を取り出すと泣きながら

「本当にごめんなあ」と言いながら渡してきたので
それをひったくるように奪い、そのまま自分の部屋で着替えて
表へと出て行った

そのこと以来、怒りの気持ちが収まらないのと
怒鳴ってしまったことへの罪悪感などの感情が入り乱れて
あれだけ毎日のように行っていた
お婆ちゃんの部屋へ入りづらくなってしまった

そして、それから2日後
お婆ちゃんの容態が急変してしまい
病院のほうへ再度緊急入院となったが
その日のうちに亡くなってしまった・・・・・

お婆ちゃんの葬式でお線香をあげるとき
ふと、2日前のアイロンのことを思い出すと涙が止まらなくなった

お婆ちゃんは僕のために動かないからだを懸命に動かして
僕を喜ばせようとアイロンをかけてくれたのに
そんな気持ちもわからずに何故、怒鳴ってしまったんだろう・・・・・

オロオロとして泣いてるお婆ちゃんに何故一言

「いいんだよ、ありがとうね。」って言ってやれなかったんだろう・・・・・

最後の最後にお婆ちゃんに酷いことをしてしまった自分が心底
嫌になり、そしてお婆ちゃんに対して申し訳ない気持ちで一杯になり
涙がとめどなく溢れてくる

せもてもの償いという訳ではないけれど
あのときの5千円でお婆ちゃんの大好きだった和菓子を買って
お婆ちゃんの御棺の中に入れてあげた

その時、本当ならお婆ちゃんが生きているときに伝えたかったのだけど
安らかに眠っているお婆ちゃんの顔を見て
感謝と謝罪の気持ちを込めて言った

「おばあちゃん、ごめんね。そして本当にありがとうね」
[PR]
by yakumoMkII | 2009-03-14 23:37 | 短編小説